もし、自分でお客様を創り出す方法があるとしたら? — 成功者が実践する「顧客の創造」

「企業の目的として有効な定義は一つしかない。すなわち、顧客の創造である。」――『現代の経営』ピーター・ドラッカー

求めるお客様を、自分で創り出すことができる。

そう聞いて、信じられるか?

信じなくてもいい。

事実、実際に『求める顧客を自分で創り出す方法』が存在する。

顧客の創造?

新たに創り出すとでもいうのか?

そんな馬鹿な……。

私自身、最初は「そんなことが本当にできるのか?」と疑っていた。

チョコレートが創り出した顧客

「バレンタインデーに、女性が男性へチョコレートを贈る」。この習慣は、外国にあったわけではない。日本の菓子メーカーが提案し、新しくつくった文化だ。

日本のお菓子メーカーは、「チョコレートで好意を伝える」という価値を市場に提供することで、それまで存在しなかった“バレンタインの顧客”を創造した。

最近ではその価値がさらに進化し、「頑張った自分へのご褒美としてチョコを買う」という新しい顧客も生まれつつある。

新たな価値提供によって生まれた私たち自身

たとえば、「持ち運べる」という価値提供によって、ノートPCを使う私たちが創造された。

また、有線接続しかなかったインターネットに無線LANという価値提供が加わったことで、安全性と利便性を求める新しい顧客が生まれた。

さらに、通勤不要という価値提供は、テレワークという働き方、そして都市部を離れて暮らすという新しい顧客層まで創造した。

これらに名前のついた市場があるかどうかは別として、すべて価値提供が新しい顧客を生み出した事例である。

ドラッカーが言う「事業の目的はただ一つ、顧客の創造である」とは、まさにこういうことだ。

お客さんが集まっている場所(市場)と、お客さん(顧客)はちがう(市場はあっても、それだけでそこに顧客は存在しない)

「市場がある=お客さんがいる」と考えるのは、大間違いだ。

「成長している市場だから売れるはず!」「市場が大きいから成功するだろう!」という考え方は、どちらも誤解である。

外食市場は巨大だ。しかし撤退する飲食店が最も多いのも外食市場である。

また、治療家の市場も同じだ。整骨院・整体院・カイロが大量に開業しても、同じくらい撤退していく。

このような大きな市場、成長する市場があったとしても、そこに参入して成功する保証などない。

自ら価値提供して顧客を創ろう

たしかに、大きな市場でビジネスを始めることは土台として重要だ。しかし、成功の条件はそれだけではない。

私の最近のマイブームは、地域の小さな豆腐屋さんだ。営業は金・土・日の11時〜17時のみ。だが開店2時間もすると、ほぼ完売してしまう。
無添加素材のパン屋さんも、午後2時には売り切れだ。
金曜と土曜だけ営業するハム屋さんは、開店30分で完売だ。

彼らに共通するのは「自然素材を丁寧に扱うため、少量しか作れない」という価値提供である。

そのため営業日は限られるが、
・人件費は少なく、
・変動費も抑えられ、
・商品は高単価で売れる。

一方、スーパーは「安く・大量に・長時間営業で・何でも揃う」という価値を提供する。自然素材のパン屋、豆腐屋、ハム屋は「少量・高品質・短時間営業」というまったく異なる価値を提供する。

同じ市場で、違った価値提供で創造される顧客の違いの例だ。

パン屋や豆腐屋になれと言うつもりはない。だが、大きな市場で成功できない理由はこれだ。市場に参入すれば顧客がいる、と考えるから失敗する。

顧客は市場に“いる”のではない。価値提供によって“生まれる”のである。

これこそがドラッカーの言う「顧客の創造」である。

魚釣りのようなものだ

魚釣りに行っても、エサ(価値提供)をつけた竿を投げなければ魚(顧客)は釣れない。

さて、あなたはどんなエサをつけるだろうか。

まわりと同じでは、同じ種類の魚を分け合うほかないだろう。

それではつまらなくないだろうか。

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著者:椎名 規夫(しいな のりお)

住宅リフォームマーケティング情報局 代表
株式会社エムディー 代表取締役社長
経歴:社団法人取手青年会議所 1999年理事長講演実績:日本郵便(株)、三井住友海上保険会社、中部電力、日本M&Aセンター‎、(株)船井総合研究所、(株)三洋堂書店、日本創造研究所、(独)教職員支援機構、中央労働災害防止協会:大阪安全衛生教育センター、(財)日本品質保証機構、(福)名古屋市社会福祉協議会、東京都教育委員会指定道徳授業地区公開講座、川口市労使講座、長野商工会青年部、静岡県清水建設業協会青年部、千葉県宅地建物取引業協会松戸支部研修、(社)常総青年会議所コミュニケーション研修など、多数。
・全国6万社が加盟する中央労働災害防止協会でコミュニケーション研修担当
・独立行政法人教職員支援機構で全国の小・中、高等学校の教員向けコーチング研修担当
・労働基準監督官(国家公務員)合同研修でメンタルトレーニング・コミュニケーション技術担当
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