店舗来店型戦略の新展開!――AIと信用指標が塗り替える「事業の定義」
店舗があるだけでは集客できない時代へ
「あれっ? 来店が減った……」
「店舗さえあれば、どうにかなると思っていた……」
「そういえば、いつの間にか似たような店ばかり増えたな……」
歴史を振り返れば、同じビジネスモデルが永続的に成功し続けることを、時代は一度も許してきませんでした。市場が飽和すれば、どんなに工夫を凝らしても、モデルそのものが崩壊へ向かうのはこれまでと同じ必然です。
今、店舗来店型ビジネスもまた、決定的な転換期を迎えています。かつては10年続いたモデルも、今は数ヶ月から1年で姿を変える激動の時代。だからこそ、私たちは「時代が変わっても変わらない普遍のもの」を正しく見極めなければなりません。
これからの店舗来店型ビジネスはどうなるのか。その答えを探るために、私たちが歩んできた歴史と、ドラッカーが予見した「事業の定義」の変質を紐解いてみましょう。
歴史に学ぶ。
これまでのビジネスモデルを振り返ってみましょう。
【1990年代〜2005年頃】 下請け依存と「事業の定義」の崩壊
かつて、地元の職人(大工・塗装・屋根)の主な仕事は、元請けからの「もらう仕事」でした。主導権は常に元請けにあり、価格も利益率も他者によって規定される構造。独立したくても認知を得る手段がなく、過酷な価格競争に甘んじるしかない時代でした。
ピーター・ドラッカーは、インターネットが国境を消滅させ、組織を「硬直的な構造」から「自由なパートナーシップ」へと変質させると説きました。これまでの「下請け=指示を待つ組織」という定義が通用しなくなることを、彼は予見していたのです。
私たちは2005年、この思想を学び、「下請け専門の会社が元請けとなり、新築さえ受注する時代が来る」と確信しました。
インターネットは、下請け時代の厳しさをチャンスへと転換する大きな変革となったのです。それは、従来の延長線上にはない、「自らが情報の発信源となる」という構造改革の始まりでした。
【2000年代〜2015年頃】 チラシ元請けモデル ―― 広告で「取る」時代
ネット社会が普及し始めたこの時期、集客の主役は意外にもアナログな「チラシ・ポスティング・小冊子」でした。
下請けを脱却した者たちが、アナログ広告を武器に元請けの座を「取る」全盛期です。しかし、このモデルもまた、競合の模倣による飽和という運命を辿ります。
【2010年〜2020年頃】 ポータルサイトモデル ―― 比較と誠実さの篩(ふるい)
次に出現したのは、一括見積・比較サイトなどの「購買代行システム」です。
流通チャネルが中間マージンを狙うこのモデルは、一見効率的ですが、本物のお客様は「低価格」や「お試し」だけでは動きません。
ネット社会が成熟し、情報の透明性が高まるにつれ、作為的な誘導は通用しなくなりました。今、この領域では、生の声が反映されるGoogleビジネスプロフィールのような「真摯な口コミ」だけが生き残る「誠実さの篩」にかけられています。
【2015年〜2023年頃】 店舗来店型モデル ―― 来店で「信頼させる」時代
自社ショールームを持ち、店舗へ誘導し、対面で商談する。
「来店 ➡ 商談 ➡ 受注」という流れは、百貨店やスーパーが築いた成功モデルの延長線上でした。
しかし、デパートの衰退が示す通り、物理的な箱(店舗)があること自体は、もはや絶対的な優位性ではなくなりました。
【2023年〜現在】 GEO+信用指標型モデル ―― 「先に信頼される」時代
2025年、私たちは「ゼロクリック検索」の時代に突入しました。
ユーザーはキーワード検索の結果をクリックしてサイトへ飛ぶ前に、AIの要約やSNSの施工事例、専門性の高いコンテンツによって、「問い合わせる前に信頼を完成」させています。
店舗の役割は、集客のための「来店装置」から、ブランドの実体を証明する「信用の指標」へと変わりました。
「知り合いに確認する」から、「垣根を超えたユーザーに確認する」へ
先日、テレビで紹介された山奥のシイタケ屋さんへ行きました。Googleマップだけを頼りに崖路を進み、ようやく到着。しかし、待っていたのは多忙ゆえの冷ややかな対応でした。
「二度と行かない」
そう確信した瞬間、私は「なぜGoogleの口コミを確認しなかったのか」と後悔しました。テレビの権威よりも、見知らぬユーザーたちのリアルな声の方が、今の私たちにとっては「確かな真実」なのです。
普遍という礎の上に
時代はビジネスモデルの永続を許しません。
しかし、どれほど技術が進歩し、AIが答えを出すようになっても、変わらぬ普遍の真理があります。それは、ドラッカーが説いた「パートナーシップ」の本質であり、顧客との誠実な信頼関係です。
数百年続く店舗来店型ビジネスも、常に変化を求められてきました。
しかしその変化は、決して流行を追うことではなく、「お客様にとっての真実の価値とは何か」という普遍の礎(いしずえ)の上に、新しい技術と信頼の形を積み重ねることで成し遂げられるものなのです。
ビジネスモデルの変化:時系列比較テーブル
| 年代 | モデル名 | 顧客との接触方法 | 事業の定義(主導権) |
| 1990年代〜2005年頃 | 下請け依存 | 元請けからの紹介 | 受動的(もらう) |
| 2000年代〜2015年頃 | チラシ元請け | 折込チラシ・訪問 | 能動的(取る) |
| 2010年〜2020年頃 | ポータルサイト | 一括見積・比較サイト | 比較(選ばれる) |
| 2015年〜2023年頃 | 店舗来店型 | ショールーム誘致 | 対面(会って信頼) |
| 現在 | GEO+信用指標 | AI要約・SNS・事例 | 先行(会う前に信頼) |














