移り変わるものを追いかけている限り、いつも成功は束の間に終わる。それが、『集客』が続かない理由。
これから、建築業界に本当のライバルが参入してくる。
“本当のライバル”が、建築業界に続々と参入してきます。
「独立の準備をしているところです。それでもコンサルティングが受けられますか?」
こういった相談がありました。
以前に比べて、独立前の相談が増えています。
よーく考えてから、リスクを最小限にしてスタートするのです。
こんな新規参入者は、正直、怖い存在です。
なぜなら彼らは、
- ポータルサイトでは成功しないことを知っている
- 価格競争では長続きしないことを知っている
- 専門市場での勝ちパターンを研究して参入する
彼らは手ごわい。
ところで彼らとは、
- 現役営業マン
- 現役設備機器会社の社員
- 現役下請け大工さん、職人さん
業界の酸いも甘いも知っています。
彼らは、まさに背水の陣で、しっかり準備して参入してきます。
それは賢い選択。
なぜならば、今、参入の絶好のタイミングだからです。
すでに土俵に上がっている者たちは、
「そう簡単に独立なんてできるものじゃない」
「世間は甘くない」
そう思っていることでしょう。
もちろん、その通りかもしれません。
だけれど、新規参入者たちは、
訳の分からないやる気と勇気という起業家マインドに満ちています。
成功と失敗の波が激しい今、彼らは、満を持して独立するタイミングをうかがっています。
そして、彼らはしっかり勉強しています。
もちろん、勉強通りには現実はうまくいきません。
しかし、過去のやり方に縛られている先輩経営者たちが、
“仲間の成功を待ち、それを真似して何とかする時代”は、もう終わっています。
高額パッケージは、もういらない。
ネット社会になる前は、
独立起業する者、もしくは、事業を再構築するための事業パッケージがありました。
イベント開催、チラシの作り方から、ポスティング、
育成、営業トーク、クロージング、紹介を獲得する方法、エンゲージメント。
このようなパッケージは、20年前なら500万円、10年前でも100万円はしたでしょう。
ところが現在は、そんなパッケージは、あまり必要ありません。
そんな価値を失った情報は、ネットに溢れているからです。
次々と勢いよく出現する新規参入者たちの中には、
あっと言う間に、地域で目立つ存在になる者がいます。
破壊的イノベーションのように、先駆者たちを追いやります。
異業種からの参入組が、見込み客名簿を囲い込んでいる。
少子化の影響を受けて、いくつかの異業種も厳しい状態です。
そんな彼らが、住宅関連事業へと参入するケースが増えています。
後出しジャンケンで“おいしい市場”だけを狙うことが可能だからです。
建築業界は単価が高いから、青い芝生に見える。
それも一つの要因でしょう。
本業が厳しくなったある者は、エクステリアや外構、ガーデニングなどの事業に進出しました。
ある墓石業の社長に、「どうして参入したんですか?」と尋ねたところ、
「本業が伸びないので、外構を始めたんです。会社にある重機でできてしまうから」とのこと。
なるほど、道具が同じなら参入しやすい。
「でも、外構の経験は?」と確認したら、
「若い社員で好きな奴が二人いて、楽しそうに始めましたよ」とのこと。
もちろん、みんながこんなに簡単にうまくいくわけではありません。
そんな彼らは、新築、増改築などの大きなリフォームには手出しはしません。
多分、そこには手が出しにくいのです。
しかし、新築・大型リフォームの見込み客名簿を集めてしまう。
そして相談があれば、知り合いの業者に紹介する。
彼らは、建築業界の端っこに手を出します。
フロントエンド商品を駆使して、名簿を集めに専念します。
そして、彼らが持つネットワークがすごいのです。
- 町内会役員
- PTA関連
- 倫理法人会
必殺、アナログ的なゲリラマーケティングです。
見えない間に囲い込まれています。
職人さんたちの独立が増える。
さらに、本当に強力なライバルの参入が本格化します。
それは、職人さんたちです。
工務店の経営者さんたちは、将来の職人さん不足を心配しているけれど、私にはよくわかりません。
だって、“職人不足”で悩んでいるのは、職人さん自身ではない。
悩んでいるのは、職人さんを雇っている彼ら自身です。
そんな中、すでに一部の職人さんがテッペンになって、プラットフォームを作り出しています。
でも、それのほとんどは上手くいきません。
その理由は一つです。
だから、彼らが強烈なライバルになるまで時間があります。
まだ少し余裕があるのです。
Web広告、SNS、YouTubeで集客する「考えがない人たち」。
さて、これから建築業界に、
これまでのようにさまざまな背景を持つ者たちがチャレンジしてくるでしょう。
彼らは、あまり広告費をかけません。
だって、広告に多くの費用がかけられないから。
だから、彼らは自分で考えて、自分だけの集客スタイルを模索します。
誰かのものまねではなく、自分のスタイルを作る。
だから怖いのです。
そして、彼らは人間のネットワークでも集客します。
普遍的なやり方を徹底的に利用します。
これも怖いんです。
“口伝え”は強力です。
脱却する。
2010年くらいまでは、移り変わるものを追いかけて集客できました。
チラシ、ポスティング、見学会、イベント、マルシェ、感謝祭、
Facebook、YouTube、インスタグラム…
次は何でしょう?
だけど、移り変わるものを追いかけている限り、集客の成功は束の間に終わります。
10年安泰だった集客法の寿命が、いつの間にか3年になり、数か月に短縮された。
うまくいった方法は、実は、これまでもそうでした。
盛衰を繰り返してきたのです。
これからの新規参入者が怖い理由は、先ほどお伝えした通りです。
“普遍”を使って集客するからです。
これからの時代、移り変わる情報、ツールに惑わされる組織は苦労するでしょう。
流行り廃りの激しいツール。
すぐに移り変わるものに、絶対的な価値はないのです。
ブレが少ない集客法は、歴史が教えてくれています。
時代が変わっても変わらぬ、普遍なやり方だけなのです。
『絶対的価値』を知っていれば、だれにでもチャンス。
ここ1〜2年、横浜・神奈川エリアでは、塗り替え工事の価格崩壊が始まっているそうです。
予測がつくことだけれど、詳しく話を聞いてみました。
なぜ横浜方面で価格崩壊が起きているのか?
営業代行会社・ポータルサイトの乱立
一括見積もりサイト・マッチングアプリ型サービスの普及で、“値段ありき”の比較文化が定着。
実際には工事の中身よりも「見積書の数字」で判断されることが増えている。
元請け不在の構造
施工力はあるが営業ができない職人が、価格だけで案件を奪い合っている。
自社施工と言いながら、実は「誰が責任を取るのか」が曖昧なケースも増加中。
新規参入の急増
元飲食店、脱サラ営業マンなどが、ネット集客を武器に「塗装業」をスタート。
開業コストを抑え、初年度から“赤字覚悟の受注”でシェア獲得を狙うプレイヤーが現れている。
繰り返されてきたことが、また繰り返されている。その挙句の果てに…
自分だけよければ…..
とにかく仕事になれば…
あとのことは知らない…
挙句の果て、いつも通り社会問題に発展しています。
価格崩壊の裏で、以下のようなトラブルが増えているそうです。
- 安いけどすぐに剥がれる
- 担当者が辞めて連絡がつかない
- アフターサービスが存在しない
- 説明のない“お任せ工事”で不信感
これまでと同じです。
問題の本質は、価格競争ではありません。
「責任の所在」がない自己中心的な経営です。
価格で業者を決めるお客様にも責任があります。
だけれど、もっと大切なことがあります。
これから独走するマーケティング。
彼らは、大切なことをネットで訴えます。
大切なこと。
本当のこと。
それらは普遍だから変化しません。
いいお客様を引き付ける。
それは、時代や状況で変わらないのです。
反面、情報は変化します。
価格を提示したり、
他社を見下したり、
SNSで情報発信したり。
どんな情報を発信しても自由です。
しかし、時代や状況で変化してしまう情報、
移り変わるツール、
仲間のマネごと、
そんなことでうまくいく時代は終わったのです。
そういうことを覚った新規参入者が入ってきます。
変わらない“普遍なもの”で勝負する新規参入者が参入してきています。
たとえば、令和の米騒動。
変わりゆくコメの価格。
価格操作、情報統制で国民は右往左往しました。
「何かがおかしい…」と感じませんか?
これが普遍の一つ『良心』です。
良心があれば、感じるのではありませんか?
「一番の被害者は、生産者の農家さんでは?」と…。
これが、これからの新規参入者が怖い理由です。
普遍の『良心』に訴えてくるのです。
皆さんご覚悟を。
待ち受ける側も、時代が変わっても変わらぬ普遍の戦略があれば、心配はいりません。

著者:椎名 規夫(しいな のりお)
住宅リフォームマーケティング情報局 代表 株式会社エムディー 代表取締役社長 経歴:社団法人取手青年会議所 1999年理事長講演実績:日本郵便(株)、三井住友海上保険会社、中部電力、日本M&Aセンター、(株)船井総合研究所、(株)三洋堂書店、日本創造研究所、(独)教職員支援機構、中央労働災害防止協会:大阪安全衛生教育センター、(財)日本品質保証機構、(福)名古屋市社会福祉協議会、東京都教育委員会指定道徳授業地区公開講座、川口市労使講座、長野商工会青年部、静岡県清水建設業協会青年部、千葉県宅地建物取引業協会松戸支部研修、(社)常総青年会議所コミュニケーション研修など、多数。 ・全国6万社が加盟する中央労働災害防止協会でコミュニケーション研修担当 ・独立行政法人教職員支援機構で全国の小・中、高等学校の教員向けコーチング研修担当 ・労働基準監督官(国家公務員)合同研修でメンタルトレーニング・コミュニケーション技術担当 |